日本インファントマッサージ協会  Japan Association of Infant Massage 

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雑誌  すべてはひとつ<わたし>を見つけるココロとカラダのRemedy Magazine。 Re・Member 
1999年1月創刊号
p2〜5 創刊特集 愛のみなもとを探る! インタビュー 母と子の「インファントマッサージ」 草間裕子
登校拒否児との出逢いがきっかけに
アロマ・セラピストとしてあるご婦人の健康相談をしていた時のこと。いくら、マッサージを施してもなかなか改善されません。そこで、カウンセリングに切り替え、お話を聞いてみると、娘さんが登校拒否児で悩まれていたことがわかりました。

この心痛が癒えない限り体がよくならないことは明らかですから、娘さんにも来てもらい、一緒にマッサージを受けてもらったのです。数回通ううちに、私がするより母親がする方が効果的ではないかと思いつき、「通うのは大変だから、今度から、お母さんがしてあげて」と促してみました。すると、3週間ほどで学校へも行けるようになり、お母さんの方も元気になられました。

その後、口コミで多くの母子を指導するうちに、母子間のマッサージは、子供の年齢が若ければ若いほど、登校拒否をはじめとする親子の問題が早く解決することが分かってきたのです。

原因は愛の渇望。やはり、問題のある子供たちは、例外なくお母さんの愛情に飢えています。

そういった経験がきっかけで、本格的にインファント・マッサージを勉強しようと再渡英しました。それまで日本には体系だったものがありませんでした。私は講義を受講してみて、「これだ!これなら日本に導入できる」と確信したのです。

インファントマッサージというのは、一般的に新生児から生後9ヶ月までの時期に行うのがベストで、その後10歳位迄とされています。

しかしその時期に十分な愛情を受け取っていないお子さんはその後も愛を渇望しています。ですからお子さんがいくつになっても(たとえ20歳を超えていても)、親がしてあげる、マッサージには特別な意味合いがあるのです。

インファントマッサージは単なるスキンシップだけでなく、生命力を高めるエネルギー交換。母親の優しい手の温もりは、その子を幸せな人生へと導く愛の貯金のようなものです。

私たちインストラクターは、お母さんの様々な悩みをお聞きしながら、そのお子さんにあったマッサージの仕方を指導します。

わたし自身、二児の母ですし、子育ての苦労もよく分かります。悩んでいるお母さんたちには、いつも「大丈夫!あなたを選んで生まれてきたのよ」と励ましているんです。

どなたにとっても、親は愛のみなもと。どんな人も母親には本能的に愛を求め、また親にはそれに充分に答えてあげられる力があります。

なぜなら、みなさん一人ひとりが宇宙から生命を授かっている「愛の結晶」なのですから。

量より質の育児
インファント(乳幼児)マッサージは今から20年ほど前にアメリカで始まり、現在では多くの実証報告がなされています。

例えば、未熟児が保育器だけで育つ場合と、母親が体に手を触れてあげながら育てた場合では、体重の増加率やその後の発達具合に明らかに差が出ること。皮膚への刺激が少ないと神経が未発達になり、神経の伝達機関であるシナプスのつながりや広がりが弱まることなどです。

また、これは私の経験則なのですが、体脂肪の燃焼が運動を始めてから20分経ってから始まるように、子供たちの愛情の欲求も、母親との触れ合いが始まってある一定の時間が経ってから、徐々に解放されると思うのです。

これは単に時間が問題だと言うことではなく、たっぷり愛情を注いであげるという「深さ」が問題。育児は「量より質」です。
ここがポイントなのですが、私はお母さん達にいつも「子供のために60分、時間を作ってください」と言っています。

多くのお母さん方は、「一人の子のためだけに60分もとれません」とおっしゃる方がが多いのですが、あえて時間を割くその1時間は、あとで数十時間分、いや数年分の効果があるのです。「〜しながら」という小刻みな「ながら育児」ではなく、集中的にお子さんと向き合う方が重要です。

たった60分の愛の定期預金は100%の高利回りなのです。

まず静かな部屋で15分程、母子共々リラックスすることから始めます。次にお子さんにマッサージしてもよいかを確認をとりながら、15〜30分優しくていねいにマッサージしていきます。このとき、決して強要しないで下さい。最後の15分は歌をうたいながらお遊び、兼、エクササイズ。仕上げにムギューッと優しく抱きしめてあげてください。このときの長さは、お母さんが心を澄ましてお子さんの胸の鼓動がはっきりと分かるぐらいの長さです。

子供は愛情で満たされていると、その後手をかけなくても、自分一人で愉しく遊べるものなのです。
愛の自己破産
おおよそ0歳から10歳までは、子供は親と一緒に大半の時間を過ごします。しかし、10〜25歳の結婚期まで、親とのスキンシップは年々薄れ、十代後半からは皆無といってもいいかもしれません。常識的には、結婚後、男女として肌の触れ合いを体験しますが、それまでちょうど10〜20歳の期間が「空白の10代」と呼ばれ、枯渇状態に落ち入る時期なのです。しかし、充分な愛の定期預金がしてあれば、そこからいくらでも引き出して使えるので、安心して、他のことに没頭できるのです。愛情の蓄えが少なければ、この時期をうまく乗り越えることは出来ません。性の低年齢化や援助交際なども、愛の渇望を我慢できない結果が生んだ悲劇。愛の自己破産といってもいいでしょう。

「触れ合い」を通じたエネルギー交換により、「愛されている」と魂が実感すると、人は自分の存在価値を確認し、自然と人を愛するようになります。

また時に人は歌や映画、人生での衝撃的な出来事をきっかけに愛の渇望を克服することがあります。それが、「気づき」と言われるものです。魂が愛の存在に気づくことが出来れば、もう心の中の「恐れ」は消えていくのです。

ヨガの行者や聖人は人との肌の触れ合いをしなくても、愛に満たされています。それは、自分自身を肉体という意識から、その中に宿っている「魂」であると実感しているため、その魂が生命エネルギー(プラーナ)とか神というもののエネルギーに触れやすくなっており、そこでエネルギー交換をしているのです。

いずれにせよ、私たちはまだしっかりと宇宙からの贈り物である「肉体」を授かっているのですから、ぜひ照れずに親子でマッサージをしたり、恋人やご夫婦で「触れ合い」を通じて愛の貯金をして下さい。

今、一番愛に飢えているのは、子供たち。何十億というカップルの中からあなたを選んで生まれてきてくれたお子さんに「わたしのもとに生まれてきてくれてありがとう」という感謝を込めてマッサージをしてあげてくださいね。

日本インファントマッサージ協会
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