日本インファントマッサージ協会  Japan Association of Infant Massage 
雑誌 Parfait 1998年Autumn号


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適齢期 育児について  草間裕子インタビュー p13
犯罪が低年齢化する現代、親の責任について様々な意見が飛び交っている。「子供は親の占有物ではなく、授かりものという意識が大切なんです。親が真剣に自信をもって子供に接していく、そしてそれを行為で表すことにより、親子の関係も変化していきます」

草間さんはITEC(英国アロマセラピー団体)認定のアロマセラピストであり、日本でただ一人のIAIM公認インストラクター(本部アメリカ)として、日本ベビーマッサージ協会を主宰する。
(HP編集部注:1998年の取材当時の情報で、2004年現在日本でのIAIM公認インストラクターは300名を超えています。草間裕子は日本で唯一の国際トレーナーとなりました。またIAIM本部はスウェーデンに移転しています)

長らく青少年犯罪の多発が問題とされてきたアメリカ。その病めるアメリカが、子供を肌身離さず大事に育てる東洋の子育てを真似て、西洋風にアレンジした手法のベビーマッサージは、現在世界の25カ国に広がっている。(HP編集部注:1998年の取材当時の情報で、2004年現在40カ国に広がっています) 

草間さんが実践するこのベビーマッサージとは、治療行為ではなく、また知識やテクニックが先行するものでもなく、親が授かった子供にあふれんばかりの愛情を込めて触れる、タッチセラピーである。

「逆輸入にはなりますが、今病みつつある日本に、病めるアメリカが生み出した知恵を、いち早く導入したらよいのではないかと思ったんです。1歳ぐらいまでは、言葉のコミュニケーションってとりにくいですから、マッサージを通して親子の信頼関係を築く、まさに刷り込み作業です。お母さんは赤ちゃんのボディランゲージを理解できるようになると、自ずと子育てにも自信がもて、より愛情をもって育児ができるようになるんです」

東京赤坂のサロンでは、ベビーマッサージの教室を開いている。
(HP編集部注:現在は赤坂での教室は行っておりません。親子教室希望の方には、協会から全国各地のインストラクターをご紹介します。メニューはインストラクターにより異なります。お気軽にお問い合わせください)

「最初にラヴィングといって、オイルを手に取り赤ちゃんの目の前で手をすり合わせ、『これからマッサージをしますよ』と了解を得るんです。それから優しくマッサージをします。左手でさすって次に右手(左右交互の動作、マッサージが多い)。これは左手で悪いものを吸ってあげ、右手でお母さんのエネルギーを与えるという考え方ですね。マッサージに使うオイルはオーガニックなものであれば、スィートアーモンドでもオリーブオイルでも。口に入っても心配ないですから。油っぽいことはなくサラサラしていますから。マッサージをされた赤ちゃんはそのままでも大丈夫です」

基本的なタッチ方法はあるが、最も大切なのは母親と子供の触れ合い。コミュニケーションである。訪れる生徒は当然母親であり、赤ちゃんと一緒。ベビーマッサージのスタートに早すぎるということはない。生後すぐから始めてほしい。未熟児の赤ちゃんに家族が手を当て続けることにより、成長の度合いが驚くほど高まったというデータもアメリカでは発表されているそうだ。もちろん草間さん自身、2人の息子の母親である。

「お子さんがちょっと反抗的でコミュニケーションが取れなくなってというお母様からご相談を受けることがあるんです。私はすぐにマッサージをお勧めするんです。でも絶対子供が嫌がるとか、今さら照れ臭いって思われるお母様が多いですね」
子供が親に心を閉ざすのは、『自分のことを何も分かってくれない』と思っているから。マッサージで触れ合うことにより、もっと自然にコミュニケーションを取ることができるし、子供の心をキャッチすることができるという。

「例えば『ちょっと試験台になってよ』でいいんです。『今こんなの習っているから、背中貸してよ』って言ってマッサージしてあげる。『どう?いい?』って声をかけながら、触れてあげるんです。気持ちがいいですから、黙ってされてますよ。それで何回かマッサージをしているうちに『あれ?今日は試験台にならなくていいの?』なんて、子供の方から聞いてくるようになったりします。そうしたら面倒くさがらずに『やらせてくれるの?サンキュー!』なんて明るくマッサージしてあげるんです。そうしているうちに、難しいことを話し合わなくても、子供が『最近おれのこと分かってくれてる』って気持ちに変化していきます。それと同時に親子関係も変わってきますし、子供の生活態度にもそれが現れるようになるんです。そういう例はたくさん見ています。あんまり子供が嫌がる家ですと、私が『これは治療だから必ず家でお母さんにマッサージしてもらわないと駄目よ』って助け舟を出すこともありますけど(笑)」

人間だれしも何かしら得意なことがある。これだけはいとも簡単にできてしまうということが必ずある。それを伸ばすことが大切だと草間さんは言う。

「子供がどんなに努力しても苦痛しか伴わないようなことを強制するのはいけないと思いますね。その子にはその子なりに好きなこと、得意とすることが必ずあります。それを探してあげる。それを伸ばしてあげることが大切なんです。得意とする分野で生きていくことが一番楽に幸せに生活できるということなんです。もちろん実生活に伴う努力や苦労はありますよ。でも子供が何をやりたいかということを見極めるときに、そういう点を考えてあげてほしいですね」

草間さんは現在ベビーマッサージの教室と共に、アロマセラピーサロンも開いている。子育て中は子供と一緒にいたいという思いから、外に働きに出ることはなかったが、自分自身の勉強も忘れなかった。 
(HP編集部注:現在は赤坂での教室・アロマセラピーは行っておりません。親子教室希望の方には、協会から全国各地のインストラクターをご紹介します。メニューはインストラクターにより異なります。お気軽にお問い合わせください)
「時間はたっぷりあったんです。それでいろんなことを勉強しました。もともと結婚前にイギリスで心理学などを学んでいたこともあって、セラピーの分野に関心があったんですね。本もたくさん読みましたし、実際にお教室にも通いましたよ」

今、リラクゼーションブームの中で勉強をし、いずれそれを仕事にしたいと熱意を燃やす人達について語る。

「基本はまず自分から、なんです。自分が癒されて、家族が癒されて、そしてそこからあふれるパワーがあればまわりの方も癒してあげる。ですからまずは自分と家族を見つめていただきたいんです。お仕事となるとお金をいただく訳ですから、簡単なことではありません。自分と家族が癒され満たされていて初めて、人を幸せにしたいと思えるものなんです。お金もうけではいけませんし、それでは人は癒されません」

人を癒そうと思う前に、まず自分と家族を振り返ってみる。そこに笑顔が満ちあふれていればこそ、人のことも思いやれる。そういう順番でなくてはいけないのかも知れない。だからこそ、まずは自分。そして夫や子供達と触れ合ってみよう。あなたを誰よりも求めているのは、家族であることに間違いはないのだから。

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